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レンジ相場

ドル/円相場は今年1月2日の105.43円が最高値、2月4日に100.75円まで5円近くの下落に見舞われた後はおおよそ101円から104円の間でレンジ相場となっています。雇用統計のいい数字が出る度に高値を付けて反落してしまうという特徴があり、高値を追ってトレンドを形成することなくレンジ相場に押し戻されてしまうため、いったい何を以て再上昇できるのか、ドル/円上昇の期待値も日に日に剥落してしまっているようです。特に100.20円ライン割れを攻め込む動きが10回ほど見られ、このレベルでは何度も反発していたことから、この水準には大きな買い需要があるとみられてきましたが、昨日5月19日に100.20円のレベルを割り込む局面がありました。

 

2度、3度と同じレベルで相場が反転すると、またそのレベルまで落ちてきた時には買いが膨らみます。こうしたサポートラインに多くの人が気づけば気づくほど、再び下がってきた際は買いが増えていきます。こうしたポジションが、そのレンジ相場の高値近辺で利食われて整理されていれば問題ないのですが、レンジが上方ブレイクすることを期待して保有され続けるポジションも多く、何度もそのレベルに到達する度に買いが溜まっていってしまいます。このように皆が意識するレベルを割り込んだ場合、どのようなことが起こるでしょうか。

 

このサポートラインを割り込んだら損失になる、という多くの投資家が、そのレベルより少し下にストップロス注文(損失確定の注文)を置いています。同じレベルで何度も跳ね返される相場でストップ注文も似たようなところに偏ってきているだろうという兆候が見えてきた頃、短期筋(ヘッジファンド)が、このストップ注文を狙って売り仕掛けをしてくることがあります。流動性の薄い時間帯(例えばドル/円相場ではNY時間がクローズして東京時間が始まる前、シドニー時間など)であれば、ちょっとした仕掛けでもそれを阻む大きな注文が出てこないために、あっけなくサポートを割り込んでしまうことがあります。サポートラインの下には、たくさんのストップ注文が(買いポジションを仕切って投げる)並んでいます。すると、誰も見ていないような商いの薄い時間帯にストップ注文がHITして思わぬ急落となってしまうということも。

 

こうした急落は「ストップ狩り」とも呼ばれますが、ストップ注文と思われるものが全て刈り取られると急落が止まります。そもそも商いの薄い時間帯です。新規で売りで乗ってくる向きもほとんどいません。そうすると、ストップを狙って仕掛けた向きは、これ以上の利益が見込めないと見た時点で売りポジションを買戻してしまいます。そもそもトレンドを形成するような大きな材料が商いの薄い時間帯に出てくることはありません。短期的な仕掛けに過ぎないため、彼らが売りを買い戻した後は値動きが閑散小動きとなりがち。そのうち東京勢がマーケットに参入してくれば、安くなったとみた実需勢が買いを入れてくることも多く、時間帯と値動きから事情を察知したチャーチストは、さらに安いところを買えるラッキーが起こったとみて、猛烈に買ってきます。ストップ注文がほぼ刈り取られてしまった場合、こうした急落急反騰は、ポジションが整理されて軽くなった分、上昇しやすくなり、いよいよ次の上昇相場のスタート局面となりやすいということになります。

 

逆に、ストップ注文があまりにも広範囲に散らばっていた場合。例えば今回のドル/円相場の場合、101.20円を割れたところでストップが多いとみられていましたが、昨日101.20円を割り込んでも、急落するというような動きにはつながりませんでした。今回の心理的節目割れは特に商いの薄い時間帯ではなかったために買い注文もそれなりに出たのかもしれませんが、100円という大台節目も近く、100円台がサポートできれば買いポジションは諦めず様子を見たいとして、更に下のレベルの100円割れにストップを置いているという向きが多いということかもしれません。

 

長期的な相場の方向を決めるのは、各国の金融政策の違いと、輸入と輸出の需給構造。米国が緩和縮小へ貿易赤字は縮小傾向、日本には追加緩和期待がある中で貿易赤字は拡大する一方です。ドル/円相場は円安に成らざるを得ないのというのが大方の見方ですが、何しろ75円台から105円台までわずか1年程度で上がってしまったために、その修正には相当の時間がかかるものと思われます。こうした修正のレンジ局面では、ポジションの偏りや短期筋の動向、台頭する新興国中央銀行の外貨準備のリバランスなどに神経質に動かされトレンドが見えない相場になっています。

 

101.20円のサポートラインがジリ下げで破られてしまったのですが、NY時間には再びレンジ内に買い戻されてきました。目先の重要なポイントは101円第前半を走る200日移動平均線を割り込むことなく反発できるかどうか、というところにかかってきています。200日移動平均線がサポートできなければ今年の安値100.75円を目指す展開となり、いよいよ100円の大台割れが視野に入ってきます。これまでのサポートラインはレジスタンスラインとなってしまうのか?今週はこのポイントを見極める重要な週となります。